鏡薬品波動漢方研究所
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2017.10.10
腰痛とは、腰の片側あるいは両側が痛むことであり、病因の違いによってさまざまな痛みがみられます。腰は「腎の府(集まるところ)」といわれるように、腎との関連が深いと言えます。
腰痛は内臓疾患の関連痛として現れることもありますが、ここでは腰部の骨や軟部組織などに起因する痛みのみを述べます。高度の変形・激烈な痛み・運動麻痺・強いしびれなどを呈する場合は、まずは専門医を受診しましょう。
急性の腰痛
急性の腰痛は外からの何らかの原因によることが多いといえますが、疲労・睡眠不足・ストレス・過労などがベースにあって、それに外からの要因が加わるために発症するのが通常です。何度も繰り返す場合には、からだの内部に原因があることを考える必要があります。
風寒(風と寒さ・冷えなどによるもの)
悪寒・発熱・頭痛・からだの違和感とともに腰が痛む、全身の関節痛など
風寒の原因で体表部を犯し、寒さ・冷えが腎と表裏をなす膀胱の経絡(腰を通過する)を阻滞するために腰痛が生じる病態です。いわゆる「かぜひき」の腰痛です。
症状
悪寒・発熱・腰痛・からだの違和感などとともに腰が痛み、全身の関節痛を呈することもあります。
風湿(風と湿気などによるもの)
腰が重だるく痛む、動作開始時に痛みが強くうごいているとやや軽減する・屈伸に時間がかかる・四肢のむくみなど
湿気の多い季節や環境・雨に濡れる・汗に濡れた着衣のままで冷える・水中作業・水遊びなどで、風や湿気が体力低下したろころに影響を及ぼし腎の府である腰部に侵入し、湿気が気の流れる道を阻滞するために腰痛が生じる病態です。
寒冷が作用して冷えが強い場合には風と冷えと湿気の体質に、風邪と湿気が停留して陽気により化熱した場合は風と湿気と熱に変化します。
症状
腰が重だるく痛み、動作のはじめに痛みが強く、動いているとやや軽減し、屈伸に時間がかかり、手足のむくみ・からだが重だるい・べっとりした舌苔(舌のこけ)などをともないます。
風寒湿の場合は、冷え・強い痛み・温めると気持ちよく冷やすと痛みが強くなる・白い舌苔などがみられます。
風湿熱の場合には、からだの熱感(午後に明らか)・口の乾燥・尿が濃い・黄色くべっとりした舌苔などがみられます。
閃腰
動作によって突如腰痛が生じ、腰を動かすことが出来ない、動作・くしゃみ・咳などで激しい痛み、局所に強い圧痛など
筋肉の緊張やねじれにより気の流れと血流の流れが滞り、流れてない病態で、過労・疲労・虚弱体質・老化などが根本にあります。
いわゆる「ぎっくり腰」であり、重いものを持ち上げようとしたり、ちょっとした体位変換によって、突然腰痛が発生します。
症状
何らかの動作により突如腰痛が生じ、腰を動かすことができず、甚だしければ動くことも立つこともできず、動作・くしゃみ・咳などで激しい痛みが引き起こされ、局所に強い圧痛を認める事が多くなります。
慢性の腰痛
慢性の腰痛は、からだの内的な要因が主体になっており、外的な要因はひきがねになったり悪化させる要素です。
腎虚(腎臓系統が弱った状態)
慢性に持続する腰の鈍痛、運動すると痛みが増強、腰や膝がだるく無力・頭のふらつき・耳鳴りなどをともなう
加齢・老化・過労・不規則な生活・過度の性生活・慢性病などにより、腎のエネルギーが不足して「府」である腰を養うことができないために腰痛が生じる病態です。
慢性の腰痛のうちでは最も多く、他の原因で起こる腰痛も根本に腎虚があると考えてよいでしょう。
なお、病変がより進行すると、陽気の不足が明らかで体力低下で寒さを感じる病態を呈する腎陽虚(腎を温める力が足りない状態)、あるいは体液の不足が明らかで虚熱(ほてりやのぼせなど)を呈する腎陰虚(腎の体液不足)に移行します。
症状
腎虚では、慢性に持続する腰の鈍痛があり、運動すると増強し休息すると軽減し、腰や膝がだるく無力・頭のふらつき・耳鳴りなどをともないます。
腎陽虚では、腎虚の症状以外に、手足の冷え・寒がる・温暖をこのむ・夜間頻尿・舌質が淡・脈が沈み、力が出ないなどの体力低下の冷えをともないます。
腎陰虚では、腎虚の症状以外に、からだの熱感・手足のほてり・尿が濃い・ねあせ・舌質が紅・脈が細く速いなどの虚熱をともないます。
寒湿(寒さと湿気によるもの)
腰の冷え痛みが持続、下肢のむくみや冷え・体が重だるい
寒湿の要因が腰部の筋肉に停滞した状態であり、基本的に腎臓系統の弱さが存在します。
湿気が多く冷たい環境で働く人(魚屋・八百屋・飲食業・漁師・水中作業者など)にみられます。
症状
腰の冷え痛みが持続し、下肢のむくみや冷え・からだが重だるい・水様の舌苔(舌の表面が水っぽい)・脈が沈んでいるなどをともない、食欲・排尿・元気などは通常です。
肝鬱気滞(ストレスによって肝臓系統の働きが落ちて、気の流れが滞った状態)
腰から脇肋部に痛みが反復して生じ、緊張やストレスで誘発されたり増強し、夜明けごろに痛みが強く、イライラ・怒りっぽい・お腹が張るなど
精神的ストレス・緊張などで肝臓のエネルギーが鬱滞し、全身に巡らなくなり肝とお互いに滋養しあう関係にある腎に影響がおよび、肝と腎の経絡が阻滞されて腰痛が発生する病態です。この病態が持続すると容易に血行障害へと移行します。
症状
腰から脇肋部におよぶ痛みが反復して生じ、緊張やストレスによって誘発されたり増強し、肝臓のエネルギーが昇りはじめる夜明け頃に痛みが強く、イライラ・怒りっぽい・お腹が張るなどをともないます。
血瘀(血液の滞り・血行障害)
固定性の刺すような腰痛、運動時に増強・夜間にうずき、痛みのある部分に強い圧痛やしこりなど
ストレスや冷え、湿気などでエネルギーの流れが滞り、腎虚によるエネルギーの渋滞などが原因で、血流が停滞した病態です。
症状
固定性の刺すような腰痛があり、運動時に増強したり夜間にうずき、痛みのある部分に強い圧痛やしこりを認め、舌質が紫暗あるいは黒っぽい点や黒っぽさをともないます。