鏡薬品波動漢方研究所
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2017.08.02
めまいとは、静止している周辺の景色や物体が揺れ動いたり回転するようにみえたり、自分の体がふらついたり目がかすんで安定しないことをいいます。
激しい回転性のめまいで吐き気がしたり意識を失うような重症から、立ちくらみ程度の軽症まであり、長年にわたり繰り返すもの(反復性)やい時期的に起こるもの(一過性)もみられます。
中医学では、揺れ動くような症状を「風」といい、体内の変化が原因で発生する場合は「内風」と呼びます。
この項目ではそういっためまいのお話を、いくつかに分けて東洋医学の考えでお伝えしていきたいと思います。
強いめまい
周囲が回転し揺れ動き、船に乗っているように感じたり、倒れそうになったり、何かにつかまらないと歩けなかったり、起き上がるのが困難であったり、吐き気・嘔吐・耳鳴り・頭痛などをともなったりと、激しい意識障害を引き起こす状態です。
体にとって有害なもの(邪)が原因で起こる事が多いといえます。
邪…細菌やウイルスなどの病原菌。悩みやストレス、天気など外からの影響で起こる体の機能の異常。
痰濁上擾
水分代謝の不調で生じた痰が頭部に上昇して内耳・眼球・脳の機能を阻害する病態。
偏食・嗜好・食事の不規則・暴飲暴食・飲酒といった食習慣および体質などの関連で、脾の運輸が障害されて水湿が停滞し、水湿が集まって痰となり、内風や火熱とともに東部に上昇して擾乱し、めまいを引き起こす病態です。古人が「脾は生痰の源である」と指摘しているように、痰を生じる根本原因は、水分の吸収と運輸を司っている「脾」にあります。
古来「痰がなければめまいは起こらない」といわれているように、水分代謝が失調して粘稠になり流動性を失った水液成分である「痰」が、なんらかの機序で頭部に上昇し、内耳の平衡機能や眼球の運動さらに脳の機能などを阻害し、めまいを引き起こす状態に相当します。
めまいのうちでは最も一般的であり、メニエール病などはこの範疇に入る事が多いといえます。
①風痰上擾
立っていられない回転性の強いめまい、激しい吐き気・嘔吐をともなう。ふだんから食欲不振・腹満・からだが重だるい・頭が重い・軟便など。
疲労・緊張・いらいら・睡眠不足・暴飲暴食といったさまざまな原因で気機が失調して内風を生じ、体内に伏在している「痰」が内風とともに頭部に上昇し、めまいを発生させる病態です。
症状
回転性の強いめまいで立っていられず、同時に激しい吐き気・嘔吐をともない、普段から食欲不振・腹満・からだが重だるい・頭が重い・軟便・白くべっとりとした舌苔などを呈しています。
②痰熱上擾
めまい・吐き気・嘔吐、いらいら・怒りっぽい・不眠・口が苦い・黄色く苦い吐物・胃痛など。
精神的ストレス・怒りなどによる肝火、あるいは辛辣なものの摂取や飲酒癖による胃熱など、内生した火熱が伏在している「痰」と結びつき、頭部に上昇してめまいを発生させる病態です。
症状
めまい・吐き気・嘔吐とともに、いらいら・怒りっぽい・不眠・口が苦い・黄色くべっとりとした舌苔などの火熱の症状がみられます。
風火上煽
高血圧症・更年期障害・自律神経失調症でよくみられ、自室神経系の興奮が代謝の亢進・脳の充血をもたらし、めまい・頭痛を引き起こす。
内生した火熱が内風とともに頭部を上乱する病態で、火が風を起こし風が火を煽って丈夫に燃え上がるさまにたとえられます。
いわゆる「頭に血がのぼる」ことで、自律神経系の興奮により代謝の亢進や脳の充血という「火」が生じ、脳の亢奮・内耳の平衡失調などによるめまい・頭痛という「風」の症状がひきおこされ、これがさらに自律神経系の亢奮を助長するという関係に相当します。高血圧症・更年期障害・自律神経失調症などでよくみられ、脳卒中の前兆でもあるので注意が必要です。
古書に「諸風掉眩はみな肝に属す」と記載されているように、めまい(掉眩)という「風」の症状は自律神経系に相当する「肝」と密接な関係があり、肝は木臓であり、木の枝が風によって揺れ動くような関係とみなされます。
①肝陽化風
強いめまい・ふらつき・頭が割れるような持続性頭痛・難聴・耳鳴り、いらいら・怒りっぽい・のぼせ・顔面紅潮・目の充血など
精神的ストレス・激しい怒り・感情の鬱積などで肝火と内風が生じ、風火が頭面に上昇してめまいをひきおこす病態です。
気力・体力などの消耗は明らかではなく、激しい持続的な症状を呈するのが特徴です。
症状
強いめまい・ふらつき・割れるような持続性の頭痛・難聴・耳鳴りなどの内風の症状とともに、いらいら・怒りっぽい・のぼせ・顔面紅潮・目の充血・口が苦い・不眠・舌質が紅などの火熱の症状がみられます。甚だしければ卒倒して意識不明におちいります。
②陰虚陽亢
めまい・ふらつき・頭痛が反復、目の乾燥感・皮膚の乾燥・口の乾燥・るい痩・のぼせ・ほてり・ねあせ・焦燥感・夢をよくみるなど。
先天性虚弱・慢性病や、熱病や肝陽化風などが長びいて陰液が消耗し、陰液不足で陽気が抑制されないままに亢盛になり、火熱となって頭面部を擾乱してめまいをひきおこす病態です。
水が不足して枯れかけた木が揺らぎやすいのにたとえられ、からだの栄養状態が衰え、体液が不足したために、自律神経系が亢奮しやすくなって、めまいをひきおこす状態に相当します。
肝陽化風と症状は似ていますが、間欠性・反復性であまり激しい症状でなく、体液不足をともなうのが特徴です。
症状
めまい・ふらつき・頭痛などが反復してときどき起こり、目の乾燥感・皮膚の乾燥・口の乾燥・るい痩・のぼせ・ほてり・ねあせ・焦燥感・夢をよくみる・舌質が紅で乾燥・舌苔が少ないなどが現れます。
ふらつくめまい
動いたときにクラッとしたり、頭がボーッとして目がくらみ倒れそうな気がするといった、軽度のめまいです。
頭に栄養や循環が十分でないために起こるといわれています。
虚損
人体の構成成分である気・血・精が不足した状態です。
①気虚下陥
立ちくらみ・動作時のふらつき、疲れやすい・元気がない・食欲不振など。
先天性虚弱・慢性病・老化・過労などで気が不足し、気機が下陥するために清陽が上昇せず、頭面部が空虚になってめまいが生じる病態です。
気力や機能が不足したアトニー状態に相当し、重力に抵抗して血液を丈夫に押し上げる推動力が不足しているためにめまい・ふらつきが発生します。
症状
立ちくらみや動作時のふらつきが主体で、疲労時に謙虚になり、疲れやすい・元気がない・食欲不振などをともないます。
②血虚
首やからだを急に動かすとクラッとなり、ふだんから頭がぼんやりする・目のかすみ・目の乾燥・顔色が悪い・爪の色が悪い・四肢のしびれなど。
先天性虚弱・産後・出血・慢性病などで血が不足し、頭面部を上栄できないためにめまいが生じる病態です。
栄養状態が悪く、循環血液量も不足した状態で、頭部が十分に栄養されないためにめまい・ふらつきが現れます。
急に首を動かしたりからだを動かすとクラッとなり、ふだんから頭がぼんやりする・目のかすみ・目の乾燥・顔色が悪い・爪の色が悪い・四肢のしびれ・舌質が淡白といった血虚の症状がみられます。
多くの場合、元気がない・疲れやすい・気力がない・食欲不振などの気虚の症状をともなっています。